東南アジア

楽天の東南アジア撤退から想定する楽天とスタートアップ企業との違い

先週、東南アジアでは衝撃的なニュースがありましたね。

なんと日本の大手Eコマース企業の楽天がインドネシア、マレーシア、シンガポールの3カ国で手がけていたマーケットプレイスのEコマースサイトを閉鎖するらしいです。

また、2009年にタイで買収をしていたEコマースサイトのTARAD.COMのサイトも今後、売却予定とのことです。

楽天の東南アジアの閉鎖発表と各国のサイト状況

関連記事

https://thebridge.jp/2016/02/rakuten-exit-singapore-malaysia-indonesia-thailand

日本のEコマース大手の楽天は、プレスリリースで、シンガポール、マレーシア、インドネシアのマーケットプレイスを閉鎖することを明らかにした。さらに同社は、Tech in Asia に対して、2016年3月までにこれらのマーケットプレイスを閉鎖することを確認した。約150人におよぶスタッフが解雇されることになる。楽天は現地法に従い、解雇対象者への就職支援、退職金支払を実施する

引用:THE BRIDGE

(インドネシアのRakuten Beranjaのサイト)

https://www.rakuten.co.id/(サイト閉鎖)

既にサイトを見るとサイト閉鎖のアナウンスがされています。シンガポールとマレーシアも同様にサイト閉鎖のアナウンスがされていました。

楽天シンガポールとマレーシアのサイト

Rakuten.com.sg(サイト閉鎖)

Rakuten.com.my(サイト閉鎖)

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(タイで買収をしたTARAD.COMのサイト)

https://www.tarad.com/

タイのTARAD.COMは売却先を検討していることもあり閉鎖のアナウンスはなく通常通りな感じですが、現地メディアも今回の出来事を大きく取り上げています。

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(thumbsupでのTARAD.COMの記事)

楽天の今後の東南アジア展開に関して

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楽天、シンガポールなどのオンラインストアを閉鎖(外部リンク)

楽天はさらに、CtoCのフリマアプリ「ラクマ」を東南アジアの各国市場向けにリリースする計画も明らかにした。これにより同モバイルアプリは、シンガポール発の「Carousell」など、既存のフリマアプリと競合することになる。楽天は、投資部門Rakuten Venturesを通じてCarousellに出資している。

楽天によると、同社のアジア本社は今後もシンガポールに置かれるという。

楽天は2月12日、「Vision 2020」を発表し、東南アジア(インドネシア、シンガポール、マレーシア、タイ)の事業を「初期モデル」からCtoCのRakumaアプリに転換する意向を示している。

引用:CNET Japan

どうやらマーケットプレイスからC2Cに事業展開するみたいですね。

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(楽天Vision 2020より)

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(日本のラクマのサイト)

https://rakuma.rakuten.co.jp/home/

インターネット界隈の事を調べるおのブログでも、2年前に「過熱するインドネシアCtoCコマース界隈をざっくりと」という題名の記事を見ても既にインドネシアではC2Cのプレイヤーの数が多すぎます。

最近、東南アジアのモバイル コマースに関してのブログでも激戦区だと書いてありますね。

今後、全カテゴリに対応しモバイルアプリに最適化されたサービスの中で1、2社は生き残るだろう。今のところCarousellとShopeeが優勢な状況で、モバイルに最適化し切れないウェブ主体のサービスは彼らに勝つことは出来ない。また、彼らと競争するために今から参入するのは遅い、というのも現地での意見だ。

このような現状で参加しているプレイヤーはどうすれば勝てるのか?一つはカテゴリ特化型 (Vertical market) で突き抜けること、サービスにストーリーがあり将来横展開が可能な分野であれば可能性が高いだろう。

引用:モバイル コマース 市場レポート

その他の主要な東南アジアの国でも同じ状況でしょう。非常に難しい感じの事業領域ですね。

逆にどんな戦略でくるのかは非常に興味があります。

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過熱するインドネシアCtoCコマース界隈をざっくりと(外部リンク)

楽天の東南アジアの閉鎖は何を意味するのか?

楽天は現在のロードマップと戦略の一環であることを明言しているので全く違う理由かもしれませんが、普通に考えたらネガティブな理由で想定してしまいますよね。

マーケットプレイス事業も伸びていて好調であれば全てのサイトを閉鎖をする必要もないので「思ったよりも収益が見込めなかった。」「収益化までに時間がかかりすぎる。」などの理由が想定されます。

過去にブログでも書きましたが、日本の子会社で東南アジアに進出しているということは、収益モデルが売却ではないため、ある一定の期間での収益化が求められます。

過去記事

軽々しく「スタートアップ」っていうと後で恥ずかしくなっちゃうかもって話

AlibabaAmazonがインドネシアに来てビジネスを始めてもスタートアップにはならないけど、tokopediaはスタートアップとして認識されることを考えると日本からの子会社として展開した場合、それはスタートアップではなく事業拡大だということ。

楽天の東南アジア展開も同様にスタートアップではなく事業拡大です。

楽天は2009年のタイのEコマースサイトのTARAD.COMの買収を含めると含めると、既に6年間も東南アジアでの展開をしています。6年間の期間を考えると使った時間に対して、想定をしていた売上規模が出なかったのかもしれません。

各企業が苦戦を強いられるスタートアップとの戦い

スタートアップの定義から収益モデルが売却となれば、各スタートアップ企業が投資家から得た投資金額を使い、サービスのバリューを早く、どれだけ大きくすることが出来るのか?がポイントとなります。

Eコマースでいえばサービスのバリューを高める為に投資を受けたコストをサプライヤーがマーケットプレイスへの出店する際に出店費の無料や、ユーザー獲得などに広告費を大量につぎ込んできます。

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(tokopediaの出店社用ページ)

https://www.tokopedia.com/jualan-online

ソフトバンクからも出資を受けているインドネシアで有名なEコマースのtokopediaも出店に関しては無料ですし、広告費なんかはLAZADAが圧倒的です。

逆に外資からの子会社展開の場合、そういうわけにはいきません。ある一定期間の事業投資も考えてはいますが、あくまでも売上です。

スタートアップ企業がサプライヤー獲得を無料で行っているのに対して、販売をしなければならないのです。

後にマーケットプレイスの取り扱う商品点数などにも差がついてきます。取扱商品に差があるということはユーザー獲得に関してももちろん差がついてくるわけです。

特に東南アジアでのEコマースのスタートアップは盛んなため、有名Eコマースのほとんどがスタートアップ系企業となります。

これは想像ですが、まだ黒字化はどこもできていないのも事実だと思います。

先日発表されたネガティブの改正において100%独資でのEコマース事業ライセンスの取得も可能になったばかりなのですが、楽天ものキャッシュを持った企業でも閉鎖をするということはネガティブリストが改正されたとしても今後の外資のEコマース企業の参入はほとんどないんではないでしょうか。

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TAKASHIMATSUURA
インドネシア在住。東南アジアで金融サービスへのアクセスを向上させるマッチングプラットフォームを運営しています。